銅板工事

積み重ねた歴史とともに風合い・美しさは増す銅板工事

皆様、銅板工事と聞いてピンとくることはありますか?
おそらくどんなものなのか、あまりよくわからない方がほとんどだと思います。

銅板工事には、神社でも用いられることもあり、私達の屋根にも銅板を葺くことがあるのです。
特性上、加工性が高い銅板は、大胆な設計を可能にします。

発想するイメージは常に大胆に展開することもでき、形は一つではありません。
色々な形を複合させて、より大きな満足感を得られます。加工しやすく腐食しにくい銅板は、そういった面からもまさに打って付けの素材とも言えます。

日本における胴と建築の始まりは、飛鳥時代からと伝えられており、様々な建物の門や屋根などに使用されてきました。

その伝統的な美しさは日本人に長年愛されてきた素材だとも言えます。
そして、その銅板屋根の耐久性は歴史が証明済みで今もなお、残っているものもあります。
そのうえ、ただ耐久性が高いだけではなく、年月を重ねると共にその美しさは増し、日本特有の風土に見事に当てはまった素材なのです。

当社では、そんな銅板を使用した屋根はもちろん、雨樋や看板やお店のオブジェなど様々な施工を承っております。
すべて手作りですので、ご興味のある方は、ぜひ一度当社にご連絡ください。

銅板屋根にするとどんなメリットがあるの?

先程もお伝えしたように、耐久性が優れていること。
それは、銅板の代表的な特徴である、緑青という銅の錆の一種が大きく影響するため。
皆様の周りの古い神社やお寺などの屋根を一度ご覧になってください。
鈍い青緑になっているなら、緑青が発生している銅板屋根です。

その緑青が発生することにより、それが表面を覆い、その錆が内部の腐食を防ぐ効果や抗菌作用が働き、劣化しないように銅板自体を自ら守ります。
その性質のため、他の金属屋根と比べ、塗装を必要としない優れた特性があるのです。

建築板金職人にとって、銅板の仕事というものは華のある仕事です。

素材自体の単価が高い事もその理由の一つですが、銅板を扱う仕事の絶対数が少ないので、その機会に恵まれない板金職人にとっては、その特性や決まりごとを知らないままに一人前と呼ばれる年代になってしまったという職人も多いからなのでしょう。

銅板は柔らかく、はんだづけも容易で加工性に優れた素材です。
また、鉄が錆びた時には赤茶けてパラパラと崩れてしまい、いかにも古ぼけましたという経年変化を遂げるのに対し、銅の経年変化は落ち着いた緑青を噴くという、味わいのあるものですので、築年数の長さが価値となるような家屋の美しさを演出します。

建材メーカーの隆盛と共に、平板からあらゆるものをこしらえる事のできる職人は減りました。
加工性が高いはずなのに、手加工でなんでも作るという職人は、世代が下れば下るほどその割合が小さくなっています。

一文字葺きと呼ばれる意匠の屋根などは、建材メーカーの既製品でも、手加工品と違わない約束事を守っているものがありますし、仕上がりの美しさは既製品の方が良い事もあります。
しかし、小さい屋根を収める時には葺き足(段数を均等に割った一枚の大きさ)の調整が出来ずに野暮ったい見た目になることもあります。ところが、アンコウと呼ばれる軒樋と竪樋を繋ぐ部材の既製品はどうしても、プラモデル的な部品構成にならざるを得ず、本来であれば必要のない箇所に継ぎ目が出来てしまう、昔気質の職人や粋な目をもった人にとっては不細工なものにしかなりません。

加工性が高いはずの銅板仕事の文化は、ずいぶんと痩せてきました。
さらには、銅の熱による伸縮を意識しない職人の仕事のせいで、ありえない経年変化が起きている例もあります。
昔気質の職人の減少と、このような事例のために家屋に銅板を使おうという需要が減り続けているのかも知れません。

日本には世界に誇る文化がたくさんあります。ですが、住まいや町並みという文化は愛されなくなってきているのかな、という寂しさを私は持ってしまいます。
住宅はメンテナンスフリーの耐久消費財ではないはずです。
銅板が使われている使われていないに関わらず、もっとご自身のお住まいを愛して見つめ直して欲しいな、なんて思います。

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