雨漏りの理

雨が降るたびに住まう人を憂鬱にさせてしまう、雨漏り。
これは精神衛生上でも最悪な部類に入るものだと言っても過言でないでしょう。
さらに建物にダメージを与え続けるものでもあるので、出来るだけ早く改善の一手を打つべきものだと思います。

雨漏りには様々な原因があり、一目見るだけで「ココ!」と分かるものもあれば、熟練の職人がどんなに頭をひねっても分からないというものも、時にはあります。

水は常に重力によって下へと導かれます。風の影響を受けない坂では常に同じところをたどり、同じところへ流れつきます。
でも、時には風によって水を逆流させる事も、思いがけない方向へ導く事もあります。

我々の業界は学歴を必要とはしません。でも、いざ雨漏りに対峙した時には物理の素養が必要になってきます。
水はどのように流れるのか、いつでもそれを観察し水の性質を知ること。それに建物の構造を頭に入れて、見えない部分の水の流れを想像する事で、原因にあたりをつける。
それが、我々板金屋の雨漏りを直す時のアプローチです。

雨漏りの原因はいろいろあります。
・単純に屋根材が経年劣化で割れたり錆びたりで穴が空き、そこから雨水が侵入するという分かりやすいもの
・横殴りの雨の時だけ雨漏りする壁からの雨漏り、アンテナ線等を雨水が伝って起こる雨漏り
・枯れ葉などの堆積によって起こる雨漏り など

上記のように様々な原因が雨漏りを引き起こします。
また、それらが複合的なものとなっている場合もあります。

それらの原因を突き止めないままに、「分からないけど、とりあえずコーキングしてみよう」というのはかなりよくない一手で、それは下手をするとそのコーキングのせいで雨漏りがよりひどくなったり、原因究明がより困難になったりします。

例えば、屋外バーベキューの際に、ヘロヘロの紙コップの底に穴が空いたとしましょう。
そして、元がヘロヘロなものですから、穴が空いたコップを補強代わりに新しいコップを重ねて使おうと思いつきます。
そこで、穴の空いたコップが外側になるように重ねたなら、使い勝手はおそらく良くなるでしょう。
しかし、それを逆にすると、二つのコップの隙間に水分が入り込んで、飲み切る事が困難になる事でしょう。
決してコーキングによる補修が悪という訳ではないのですが、とりあえずコーキングを使うというのは、この例の後者に似ています。

私たちの暮らしを守ってくれている住宅をメンテナンスフリーの耐久消費財と捉えるのは寂しいことですし、お住まいを愛してご自身でお手入れをされるというのは大変すばらしい事だと思っています。
ですが、雨漏りをなんとかしようと、ご自身でコーキングをしてみるというのはオススメできません。
どうか、その前に信頼できる工務店なり板金屋にご相談いただきたいと思います。